みなさん、
「一生お金に困らない生活をしたい」
「なるべくたくさん資産を増やしたい」
という想いがあると思います。
さらに、子どもを育てる親の立場からすると、
「自分の子供には、自分以上にお金に困らない生活をして欲しい」
と余計思うものです。いわゆる「お金の教育」というものですが、実際にどのようなことを、教えていけばよいかわからない人が多いと思います。私も、いつか子どもにお金の教育をしたいと思っているのですが、先日、参考になる本を読みました。
「おカネの天才」はちょっと言いすぎなような気がしますが、最低限お金に困らないための基本となる考え方や、子供への接し方などをまとめた良い本だと思います。
子どもの年齢も、就学前から大学生まで、幅広い子どもを対象にしており、具体的で実践的な内容も含まれています。
著者は、ベス・コブリナー (Beth Kobliner) 氏
アメリカの著名コメンテーター兼ジャーナリストにして、パーソナルファイナンスの第一人者。ニューヨーク・タイムズのベストセラー『Get a Financial Life:Personal Finance in Your Twenties and Thirties』の著者でもあるそうです。
『2010年にバラク・オバマ大統領から若者向け金融教育諮問委員会のメンバーに指名され、そこで、マネーアズユーグロー・ドットコムを創立。子供の年齢に合わせた20の教訓を提供するこのサイトには、140万人以上が訪れ、2016年には消費者金融保護局にも採用された。』とのことです。
米国で著名な、個人や家庭に向けファイナンスの専門家のようです。
投資の考え方を教えるには、「種から育て、木を育て、実をならす」
私が読んでいて、良いと思ったのは、子どもに投資の考え方を教える方法について書かれたところです。
「投資」って大人でもよくわからない概念なのに、それを子どもに伝えるのって結構難しいと思います。
この本では、「種から育て、木を育て、実をならす」ということを提案しています。
種を買ってきて、水をやったり、手入れをすることで、種からを芽を出し、枯れることなく成長していき、最終的には実をならす。最初は安かった種が、最終的には実をならす。食べたり、売ったりすることもできます。その果実を材料に料理をして、付加価値を付けることもできます。
「種から育て、木を育て、実をならす」というプロセスは、投資における「時間を武器にして価値を増やしていく」という過程と似ているという考えですね。
子どもだったり、投資になじみがない人に、投資の考え方を教えたり、イメージしてもらったりすることは、難しいことです。この例え話は、とても身近でわかりやすい良いものだと思います。ひふみ投信で有名なレオス・キャピタルワークスも「桐たんす物語」というストーリーで、投資のことをわかりやすくイメージさせています。
桐たんす物語 | ひふみラボ | レオス・キャピタルワークス株式会社
「貯金」と「保険」を勧めていることには違和感
著書の中で、「貯金」と「保険」を勧めています。この2つに関しては、もう少し深くつっこんだ内容を書いて欲しかったと思います。少し違和感を覚えました。
一昔前では、「銀行口座に貯金していれば安心だ」「銀行の定期預金こそ一番安全な資産運用だ」という考えが主流だったと思います。実際、金利が高かったときには、それでも十分だったのでしょう。
しかし、今は時代が大きく変わっています。「貯金」することで、「お金の天才」は育たないように思います。もちろん「貯金できる力」というのは、必要だと思います。貯金するためにはどうすればよいのか?いろいろ考えて、節約したり、身の丈に合ったお金の使い方を覚えたり、お金を管理するという感覚を育んだり、さまざまな効果が期待できるのは確かです。
しかし、「おカネの天才」と題した本だと、貯金するだけではなく、効果的なお金の使い方にも踏み込んでほしかったと感じます。
同様に、「保険」に関しても、「保険に入ること」を勧めているのですが、ちょっと単純過ぎるかな、と感じてしまいます。
現実には、「もしもの時の出費のために、、、」「周りがみんな保険に入っているから、、」という考えで、保険に入っている人がほとんどだと思います。しかし、よくよく考えたら「保険に入らなくても良い場合」というのは結構あります。
そもそも、
「もしもの時」って具体的になにか?
「もしもの時」の発生頻度は?
「もしもの時」に支払う金額はいくら?
というのをしっかり考えたり調べたりもせずに、保険に入る人がほとんどです。
公的保障や企業保障も充実していますし、意外と「保険に入らなくて良い」というケースは多いと思います。
保険の基本的な考えは「かけ捨て」なのに、変に貯蓄性を備えた金融商品っぽいものをたくさんあります。
単純に「保険に入ること」を勧めるのではなく、もう少し踏み込んだ保険の考えを紹介してほしかったと思います。(米国と日本で、保険の制度や仕組みが異なると思うので、参考程度に読むのが良いと思います。)
おわりに
私も、いつか子どもにお金の教育はしないといけないなーと思っているので、今回の本は大いに参考にさせてもらいました。日本は、海外、とくに欧米に比べて、教育システムとしての「お金の教育」が遅れていると聞くので、家庭レベルでしっかりと教育できたらと思います。